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ノジュール(団塊)の見分け方

ノジュール(団塊・コンクリーション)は、泥や砂が固まる途中で、 生き物の遺骸などを芯にして、その周りだけが硬く固まった石の塊です。 中に化石が入っている確率が高く、周りの岩より硬いので、風化した露頭では浮き出て見えます。 なぜ化石が入るのかが分かると、探す場所も、割ってよいかどうかも決まります。

ノジュールとは

海底や湖底に沈んだ生き物の遺骸が腐ると、その周りだけ水の性質が変わり、 炭酸カルシウムや炭酸鉄が沈着します。化石を芯にして、その周りに石が育つわけです。 大きさは数センチから2メートルまで、形は球・楕円・扁平とさまざまです。できかたから、 次の3つが決まります。

露頭での見え方 同じ層準に並ぶ 母岩より硬く、風化で浮き出る 割った断面 核=化石 層が同心円状に取り巻く
石灰質ノジュールは化石を核として周りに炭酸塩が沈着してできる。だから同じ層準に並び、割ると中心に化石が入っている。

硬さの差は、露頭でそのまま形になって現れます。周りの泥岩が削れても団塊だけが残り、 崖の下に球のまま転がります。

泥岩の崖の下に、球状のノジュールがいくつも転がっている
母岩が削れて、球状のノジュールだけが残った例。崖の下に転がっているものは、上のどこかの層から抜け落ちてきています。写真: Cannonball Concretions in Theodore Roosevelt National Park — NPS/Richard Spener / Public domain(幅820pxへ縮小・再圧縮)

元がどこにあったかは、崖の面を見ると分かります。同じ高さに並んで顔を出しているのが、 その団塊が入っている層です。探すときは高さではなく、この面に沿って横へ追います。

崖の面の同じ高さに、ノジュールが横一列に並んで顔を出している
崖の同じ高さに並んで出ている団塊。これが1枚の層準です。1つ見つけたら、上下ではなくこの線に沿って横へ探します。写真: Cannonballs Theodore Roosevelt NP north unit ND2 — Acroterion / CC BY-SA 4.0(幅820pxへ縮小・再圧縮)

ノジュールの見分け方 — ただの石との違い

拾う前に、割らずに判断できる手がかりが6つあります。上から順に、道具なしで確かめられます。

手がかりノジュールただの礫
形丸みのある塊、やや扁平。表面はざらついて一様 角ばるか、川で磨かれて均一に丸く、表面に光沢が出る
母岩との関係周りの泥岩に包まれている。層が団塊を避けて曲がる 周りと無関係に転がっている。同じような丸石が集まっている
色母岩と違う(褐色・灰白色に風化することが多い)さまざま
硬さ・音母岩より硬く、叩くと高い音—
希塩酸石灰質なら泡が出る石灰岩礫でなければ出ない
断面同心円状の構造。中心に色の違う芯均質、または砂粒が見える

いちばん強い手がかりは2行目です。母岩に包まれているものは、 その場で作られた団塊です。転がっている石は、どこか別の場所から運ばれてきた可能性が残ります。

実物を見る — 割る前と割った後

まず、割る前がどう見えるかです。角が取れた丸い塊で、層がありません。 表面はざらついた一様な質感で、ふつうの礫のように磨かれてはいません。 この個体は縁にアンモナイトの断面が顔を出しています。

割る前の丸いノジュール。層がなく、縁にアンモナイトの断面が見えている
割る前。丸いが層は無く、縁(左)にアンモナイトの断面が出ている。こういう石が泥岩の中に混じっていたら候補です。写真: Ammonite-bearing concretion (Whitby Formation, Lower Jurassic; Yorkshire coast, England) — James St. John / CC BY 2.0(幅900pxへ縮小・再圧縮)

下は同じく割る前の菱鉄鉱(りょうてっこう)ノジュールです。表面に貼ってある番号は 博物館の標本番号で、石の一部ではありません。平たい円盤の形は、この種類の団塊によく出ます。

平たい円盤状の菱鉄鉱ノジュール。標本番号のラベルが貼ってある
割る前の菱鉄鉱ノジュール(米イリノイ州マゾンクリーク・石炭紀)。厚みのない円盤状で、中に平たい生き物が入っていることが多い形です。写真: Clay ironstone nodlue (GeoDIL number - 497) — Nessa Eull / CC0(幅820pxへ縮小・再圧縮)

次が、同じ石の割る前と割った後です。上が割る前、下が割ったところ。 左が外側の型(外形が写し取られた面)、右が化石そのもの。 2つに割ると型と本体の両方が手に入りますので、片方だけ持ち帰らないでください。

同じノジュールの割る前(上)と割った後(下)。左が外形の型、右が三葉虫の本体
上が割る前、下が割った後。左が外形の型、右が本体(三葉虫)。割る前の見た目からは、中身がここまで残っているとは分かりません。写真: Calymenid nodule and split — Thomas Bresson / CC BY 3.0(幅900pxへ縮小・再圧縮)

植物でも同じことが起きます。下は割った両面にシダの葉が出た例です。 左右は同じ1枚の葉の表と裏で、別々の化石ではありません。

割ったノジュールの両面に、シダの葉が型と本体として出ている
割った両面にシダ(ペコプテリス)が出た例。左右は同じ葉の型と本体。この2つは対で保管してください。写真: Pecopteris sp. (fossil fern) (Mazon Creek Lagerstätte, Francis Creek Shale, Middle Pennsylvanian; Mazon Creek area, Illinois, USA) 2 — James St. John / CC BY 2.0(幅820pxへ縮小・再圧縮)

当たりのノジュールでは、1つの面に複数の個体が並んで出ることがあります。 同じ時に同じ場所に埋もれたものが、そのまま固まっているからです。

割ったノジュールの断面に、複数の化石が並んで出ている
割った面。複数の化石が同じ面に並んでいる(左の目盛りは2cm)。1つ見えたら、その面全体を明るいところで見直してください。写真: Siderite Concretion Carboniferous — Mark A. Wilson (Wilson44691) / CC0 1.0(幅900pxへ縮小・再圧縮)

団塊の中では、殻も骨も持たない生き物が残ることがあります。周りの泥が押しつぶす前に 石が固まるので、体の形がそのまま写ります。下は環形動物(ゴカイの仲間)です。 泥岩の平らな面ではまず残らないものが、団塊の中でだけ残ります。

割ったノジュールの中に、細長い環形動物の体が残っている
ノジュールの中に残った環形動物(米・マゾンクリーク/石炭紀)。硬い部分を持たない生き物が形をとどめているのは、団塊の中だからです。写真: Esconites zelus (fossil worm) (Mazon Creek Lagerstätte, Middle Pennsylvanian; Mazon Creek area, Illinois, USA) 2 — James St. John / CC BY 2.0(幅820pxへ縮小・再圧縮)

ノジュールの種類 — 中身も割れ方も違う

「ノジュール」は形の呼び名で、中身の鉱物は1つではありません。 何でできているかによって、入っている化石も、割ったときの割れ方も、 持ち帰ったあとの扱いも変わります。

種類見た目・手ざわり入りやすい化石扱い
石灰質(炭酸カルシウム) 灰白色〜褐色。希塩酸で泡が出る アンモナイト、二枚貝、巻貝 層に沿って素直に割れる。もっとも扱いやすい
菱鉄鉱(炭酸鉄) 褐色〜赤褐色に錆びる。同じ大きさの石より重い 植物、昆虫、クラゲやゴカイなど軟らかい体 平たい円盤状。凍結と融解を繰り返すと自然に開く
黄鉄鉱・白鉄鉱(硫化鉄) 割ると金属光沢。ずっしり重い 小さな殻。化石が黄鉄鉱に置き換わることもある 湿気で崩れる。乾燥剤と密閉し、他の標本と分ける
チャート・フリント(石英) ガラスのような光沢。非常に硬い 海綿の骨片、放散虫、ウニ 貝殻状に鋭く割れる。破片が刃物になる
燐酸塩 黒く緻密。層状に色が変わることがある 骨、歯、糞石 硬く、中身が見えにくい
セプタリア(亀甲状) 表面に亀の甲羅のような割れ目。隙間を白い方解石が埋める 入っていないことが多い 割っても方解石の脈が出るだけのことが多い

表と同じ順で実物を並べます。同じ「ノジュール」でも、色も光沢も割れ方も違います。

持ち帰る前に知っておくこと

どんな地層から出るか

団塊ができるのは、細かい泥がゆっくり積もり、その中で有機物が分解された場所です。 したがって狙うのは砂利や溶岩ではなく、海でたまった泥岩・頁岩、そして石炭に伴う地層になります。 逆に、花崗岩の山や、川が運んだ礫だけの河原では、そもそもできません。

日本で、団塊が論文に記録されている地層

このサイトが持っている産地データと地層の論文から、団塊・コンクリーションが 実際に報告されている地層を挙げます。産地の一覧はそれぞれのリンクから開けます。

地層場所・時代報告されている団塊
蝦夷層群 北海道・白亜紀 アンモナイトを含む石灰質団塊。日本でもっとも知られた産出
双葉層群 福島県・白亜紀 大型アンモナイトの密集層と、巨大な炭酸塩コンクリーションの濃集層 (大森ほか, 2023・地質学雑誌)
青木層・ 別所層 長野県・中新世 大きな苦灰石ノジュール(石田・森清, 2015)と、 層状の燐酸塩ノジュール(森清, 2016・地球科学)
名洗層 千葉県銚子・鮮新世 石灰質団塊の礫。中からジュラ紀〜白亜紀の放散虫が出た (柏木ほか, 2013・地質学雑誌)
新里層 沖縄県・更新世 ドロマイト・コンクリーション。メタンの分解に伴ってできたもの (松本ほか, 2022)

団塊が報告されていない地層でも出ないとは限りません。ここに挙げたのは 「論文で名指しされている」ものだけです。ほかの地層は 都道府県から、あるいは地図で泥岩の分布を見て探してください。

北海道の白亜紀の地層からは、下のような巻き方の変わったアンモナイトが出ます。 どちらも化石の下に黒い母岩の塊が付いたままで、これが団塊の残りです。 きれいに全部落とさず母岩を残すのは、産状を保つためでもあります。

母岩の塊に乗ったままのニッポニテス。北海道の白亜紀の異常巻きアンモナイト
ニッポニテス・ミラビリス(北海道・白亜紀)。下の黒い塊が母岩=団塊の残りです。写真: Nipponites mirabilis - National Museum of Nature and Science, Tokyo - DSC06983 — Daderot / CC0(幅820pxへ縮小・再圧縮)
細長く巻いたアンモナイトと、付いたままの母岩の塊
サブプチコセラス・ユバレンセ(北海道・白亜紀)。母岩を一部残してあります。写真: Subptychoceras yubarense, Early Late Cretaceous, Hokkaido, Japan - Houston Museum of Natural Science - DSC01934 — Daderot / CC0(幅820pxへ縮小・再圧縮)

大きさの上限は、想像よりずっと大きいです。ニュージーランドの海岸にある団塊は 直径2メートルに達します。中身の作りは手のひらに載る団塊と同じで、 中心から外へ向かって育っています。

海岸に転がる直径2メートルの球状ノジュール。割れて内部が見えている
割れた大型の団塊(ニュージーランド・モエラキ)。内部に方解石の脈が走り、中心から外へ育った構造が見えます。写真: Moeraki-boulder-split b — William M. Connolley / CC BY-SA 3.0(幅820pxへ縮小・再圧縮)

ノジュールに似ているが違う石

丸くて硬い石がすべて団塊ではありません。現地で拾い上げる前に、 下の5つは切り分けられるようにしておくと、荷物が軽くなります。

紛らわしいもの正体見分けかた
川原の丸い石運ばれてきた礫 表面に磨かれた光沢。同じような丸石がまとまってある。母岩に包まれていない
玉ねぎの皮のような石火成岩などの球状風化 同心円状に薄い皮がむける。周りも同じ岩で、層が無い
振ると音がする石ジオード(晶洞) 見た目より軽い。割ると中は空洞で結晶が並ぶ
泡だらけ・ガラス質の塊スラグなど人工物 気泡が多く、ガラスの光沢。工場跡・鉄道沿い・埋め立て地に多い
亀甲模様の石セプタリア 表面の割れ目を白い方解石が埋めている(前の節を参照)
川が運んで丸めた礫が一面に集まっている
川が運んで丸めた礫。丸いが表面が磨かれ、同じような石がまとまって出ます。泥岩に包まれていない丸石は、まずこれを疑ってください。写真: Pleistocene terrace alluvium gravel (north of Bootlegger Canyon, Utah, USA) 7 — James St. John / CC BY 2.0(幅820pxへ縮小・再圧縮)
花崗岩が同心円状に風化して、玉ねぎの皮のようにむけている露頭
花崗岩の玉ねぎ状風化。丸く見えますが、周りも同じ岩で層がありません。堆積岩ではないので化石は入りません。写真: Concentric spheroidal weathering in granite — PePeEfe / CC BY-SA 3.0(幅820pxへ縮小・再圧縮)
割ったジオードの内部。空洞に石英の結晶が並んでいる
ジオード(晶洞)。中は空洞で、石英の結晶が内側を向いて並びます。持つと見た目より軽く、振ると音がすることがあります。写真: Geode (quartz inside) — Philippe Giabbanelli / CC BY-SA 3.0(幅820pxへ縮小・再圧縮)
ガラス質で気泡の多い黒いスラグの塊
製鉄などで出るスラグ。ガラス質で気泡が多く、人工物です。工場跡や埋め立て地の近くでよく落ちています。写真: Slag 1 — James St. John / CC BY 2.0(幅820pxへ縮小・再圧縮)

紛らわしいが、こちらは当たり

表面がひび割れた、丸くも角ばってもいない塊は糞石(コプロライト)のことがあります。 見た目は地味ですが化石です。中に食べたものの破片が残っていることがあり、 当時の食べ物が分かる資料になります。

表面がひび割れた、丸みのある糞石
糞石(コプロライト)。地味ですが化石で、中に食べたものが残ることがあります。写真: Coprolite 4780s — Dan Quinsey / CC0(幅820pxへ縮小・再圧縮)

拾う前に見るところ

全部に入っているわけではありません

芯が無い(あっても分解して残っていない)ノジュールも多く、割っても 何も出ないほうがふつうです。10個割って1つ当たれば良いほうと考えておくと、 落胆せずに済みます。空振りのノジュールを何十個も持ち帰ると重いだけなので、 現地で判断してください。

ノジュールの割り方

割り方と、割らないほうがよい場合は 石の割り方と、割らない判断にまとめてあります。 表面に化石が見えている石は現地で割らないなど、取り返しのつかない判断が先に来ますので、 ハンマーを出す前にそちらを読んでください。 どこへ行くかを決めるところからであれば、産地一覧と 地図、採ってよい場所かどうかは 採ってよい場所かどうかにあります。

よくある質問

ノジュールとは何ですか。
泥や砂が固まる途中で、生き物の遺骸などを芯にして、その周りだけが硬く固まった石の塊です。 団塊・コンクリーションとも呼びます。中に化石が入っている確率が高い石です。
ノジュールとただの石はどう見分けますか。
いちばん強い手がかりは、周りの泥岩に包まれていて、層が団塊を避けて曲がっていることです。 ほかに、周りより硬く叩くと高い音がする、母岩と色が違う、石灰質なら希塩酸で泡が出る、 という手がかりがあります。川で磨かれて光沢のある丸石は、たいてい団塊ではなく礫です。
ノジュールはどんな地層にありますか。
海でたまった泥岩・頁岩と、石炭に伴う地層です。日本では北海道の蝦夷層群、 福島県の双葉層群、長野県の青木層・別所層、千葉県銚子の名洗層、沖縄県の新里層などで 報告があります。花崗岩の山や、礫ばかりの河原にはできません。
割れば必ず化石が入っていますか。
入っていません。芯が残っていないものも多く、10個割って1つ当たれば良いほうです。 空振りの石は現地に置いて帰ってください。
黄鉄鉱のノジュールは持ち帰って大丈夫ですか。
湿気で崩れます。崩れるときに硫酸を出して周りの標本やラベルを傷めますので、 持ち帰るなら乾燥剤と一緒に密閉し、他の標本と分けて保管してください。
ノジュールの割り方を知りたいのですが。
石の割り方と、割らない判断に、割る前の判断から順に書いてあります。 表面に化石が見えているものは、現地で割らず母岩ごと持ち帰るのが基本です。

ほかの解説

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